Pマーク担当向け教育更新コラム:消去できる権利

pmark-anchor 2013年11月19日 火曜日

EUは個人情報保護に関する規則について修正案を公表したようだ。

詳細は昨日の日経新聞にも掲載されていたが

罰則強化や一部個人データの移転を認める内容に加え

これまで“忘れられる権利”としていたものが

“消去できる権利”となったことが興味深い。

 

 

個人情報を収集した企業とデータの提供先に対して

消去を求める権利を明文化したものだが

本人の権利がより鮮明化されたようである。

筆者の印象では開示等の請求において個人情報の消去を求めた場合

多くの場合、論理的消去で対応している事業者が多いように思う。

いわゆる完全消去(物理的消去)を採用している事業者もあるが

少数ではないかと思われる。

EUが明文化した消去を求める権利は本人にとっては望ましいものだが

確認する術がないため実効性はどうだろうか。

 

 

また例によってビッグデータの利活用に配慮して

匿名化についても触れられているようだが

記事を見る限るまだ着地点は明確ではない。

すでに日本で検討が進む匿名化の定義や手法が

今後どのように進むのか、さらに国際的な整合性を図るとなれば

このテーマはなかなか難題である。

Pマーク担当向け教育更新コラム:オプトアウトと匿名化

pmark-anchor 2013年11月7日 木曜日

政府のIT総合戦略本部で開催されている

「パーソナルデータに関する検討会」もすでに3回開催されており

ビッグデータの利活用に向けた検討が急務となっているようである。

落しどころは適法かつプライバシー保護に対する安心感といった

社会的コンセンサスを得るためにはどうするべきかといった感じだが

それぞれの委員から提出されている資料が興味深い。

 

 

例えば、JR東日本が事後対応として行ったオプトアウト受付について

10月初頭時点で約5万5000件寄せられたというニュースもあったが

果たしてオプトアウトで問題はなかったのか。

筆者は「オプトアウト」という方法にはかねてから疑念がある。

個人情報保護法において「あらかじめ本人の同意を得ないで

個人データを第三者に提供してはならない」とあるが

第三者提供についての例外事項として

 

 

 法第23条2項

 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を

 停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、

 本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の

 規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。

  1 第三者への提供を利用目的とすること。

  2 第三者に提供される個人データの項目

  3 第三者への提供の手段又は方法

  4 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること

 

 

とあり、恣意的な解釈余地があることは、かねてからの指摘事項であり

これまでに少なからず問題も発生してきたことは周知の通りである。

 

 

「パーソナルデータの利用・流通に関する研修会報告書」(2013年6月総務省公表)では

米国FTCにおける考え方等を踏まえ、次のような条件をすべて満たす場合

 ① 適切な匿名化措置を施していること。

 ② 匿名化したデータを再識別化しないことを約束・公表すること。

 ③ 匿名化したデータを第三者に提供する場合は、提供先が再識別化をすることを契約で禁止すること。

実質的個人識別性はないといえるため、保護されるパーソナルデータには当たらないとして

本人の同意を得なくても、利活用を行うことが可能と整理できると考えられる、としている。

 

 

では具体的に匿名化すべき情報範囲はどうかという点について

日本アイ・ビー・エムの岡村氏が指摘している

「非定型パーソナルデータに関する分類と匿名化考察」の

パーソナルデータのタイプ(データの種類や形)による考慮や

データの所在や種類の認識と考慮の必要性を見ると

匿名化が容易でないことがわかる。

また再識別化しないことを約束・公表することについても

再識別化されるリスクがゼロになるわけではない。

 

 

今後、医療分野におけるパーソナルデータの利活用についても

具体的な検討が進むと思われるが

プライバシー保護と社会的有用性のバランスを図ることは更に困難が予想される。

ビッグデータの本命といわれる分野だけに利活用の推進に期待する半面

現状ではまだまだ難しいのでは・・・というのが実感である。

Pマーク担当向け教育更新コラム:洞察力

pmark-anchor 2013年10月29日 火曜日

事業継続をも脅かす緊急事態が発生したときに

経営トップに求められるものは何か・・・。

過去にも言い訳会見で醜態を晒した企業も数多くあるが

今回の阪急阪神ホテルズも教訓が活かされなかった。

理解に苦しむコメントに呆れた人も多かったのではないか。

すでに社長が辞任しても企業ブランドの失墜が回復できる状況ではなくなっている中

正直なところニュース映像を見るのが痛ましい限りである。

 

 

耐震偽装、食品偽装、産地偽装、そしてメニュー偽装。

こうした事件は内部告発によりニュースとして取り上げられ

社会的な関心事として長期間にわたり報道された結果

事業継続を断念せざるをえなくなるのが結末である。

理由はどうあれ一旦白日に晒された不都合な事実は致命傷となる可能性が高く

経営トップは何を最優先することが事業継続の道を閉ざさないか

速やかな対応と客観的な判断力が求められるが危機管理における洞察力である。

 

 

記者会見で一番欠けていたのは利用者に対する誠意ある謝罪と常識力ではなかったか。

誰に対するメッセージ(言い訳)なのか最後までわからなかった。

偽装ではなく誤表示と言い張った社長にはきっと葛藤があったはずであり

早々の引責辞任で幕引きをはかりたいと考えた心情も見え隠れするが

事ここに至っては社長辞任で収束させることは難しいだろう。

 

 

阪急グループ創業者の小林一三は

出世の道は信用を得ることであると言った。

これを経営者の道に置き換えれば本来取るべきだった姿が見えてくる。

 

 

 第一の条件は正直でなければならぬ。

 あの人には気を許すことができないと言われるようでは信用は得られぬ。

 

 

 第二の条件は礼儀を知っていることである。

 粗暴な言辞、荒っぽい動作では、これまた信用は得られない。

 

 

 第三の条件は物事を迅速、正確に処理する能力があるかどうかである。

 頼まれた仕事を催促されるようでは、やはり信用が得られない。

 

 

正直に、節度ある態度で、正確・迅速に対処していれば・・・と

筆者は非常に残念に思う。

Pマーク担当向け教育更新コラム:ポイントプログラム

pmark-anchor 2013年10月3日 木曜日

今更感はあるがポイントプログラムが急速に浸透した背景には

優良顧客の囲い込み、値引きによる顧客満足アップ、新規顧客開拓、他社連携による相互送客など

顧客争奪のサバイバル戦略から引き出された効果的な戦術のひとつであったが

すでに飽和状態となっているのが実情ではないだろうか。

消費税率のアップも考えると今後消耗戦に入ることは確実であり

果たして勝ち残れる企業はどれぐらいになるのか。

 

 

相互連携の拡大・強化による利便性と還元率アップによる囲い込みを加速することで

利用者離れを引きとめ、かつ優良顧客を選別し手厚いサービスによるリピート率アップ

といったシナリオも考えられるが、残された時間はそう長くない。

利用者にとっては手に余るポイントカードの選別機会になると思われるが

結果的に分散して管理されていた利用履歴等のパーソナルデータが

特定の企業に集約されていくことに抵抗があるというのが筆者の正直な感想である。

 

 

収集されたデータを分析することで

精度の高いマーケティングが可能になることは言うまでもないが

企業にとっては莫大な投資に見合う見返り(収益)を確保できなければ意味がない。

そのための手段がターゲティング広告であり、ビッグデータの流通であろう。

合従連衡により収集されるデータの質、量が飛躍的にアップすれば

その情報資産価値はこれまでの比ではない。

持てる企業と持たざる企業には大きな差が生じる可能性もある。

 

 

すでに勝ち組の雄として話題の多いTカードは

10月1日にT会員規約を改訂した。

これまでに指摘の多かった“共同利用”に関する補足と

ビッグデータビジネスを見据えた先手である。

http://www.ccc.co.jp/company/news/2013/20130927_003721.html

 

 

 第4条(個人情報について)

 1.個人情報のお取り扱いに追加された記述

  当社では会員の個人情報を、他の情報により容易に個人が照合できず、

  特定の個人を識別できない状態に加工して、個人情報には当たらない

  データとして、当社が適切と判断した企業に提供することがあります。

 

 

現時点ではこうした書き方しかできないともいえるが

「当社が適切と判断したした企業には提供する」となれば

ポイントプログラム参加企業も該当するのだろか。

Tポイント提携先企業は104社6万1189店舗という情報もあるが…。

 

 

 3.利用目的

 (3)会員のライフスタイル分析のため(ライフスタイル分析とは、会員の興味・

   関心に応じて、どのような情報やサービスなどを提供するのが効果的で

   あるかを検討し、会員に提供しているサービスや情報の内容を充実させ、

   もしくは改善し、または新しいサービスを検討するために、会員の個人情

   報を、個人を特定できない状態に加工した上で、分析等を行うことを意味

   します)

 

 

ということで個人に紐付けした分析は行わないとしている。が、次項では

 

 

 (4)会員に対して、電子メールを含む各種通知手段によって、会員のライフス

   タイル分析をもとに、または当社が適切と判断した企業のさまざまな商品

   情報やサービス情報その他の営業を案内し、または情報を提供するため

 

とあり、ターゲティング広告の配信利用をすることを前提にすれば

(3)との不整合があるように思われるがどうだろか。

 

 

今後ポイントプログラムを展開する企業の動きがさらに加速すると思われるが

各社の個人情報の取扱いに関する方針や利用約款の改訂も進むだろう。

パーソナルデータの動きを含めまだまだ着地点は見えないが

ビッグデータ騒動の一因となることは間違いないようである。

Pマーク担当向け教育更新コラム:プライバシー影響評価始まる

pmark-anchor 2013年9月20日 金曜日

9月20日、パーソナルデータの利活用を推進する経済産業省は

事前相談評価(日本版PIA:Privacy Impact Assessment)の試行として

協力する事業者の募集を始めたようである。

http://www.meti.go.jp/press/2013/09/20130920005/20130920005-1.pdf

 

 

2ヵ月程度で結果の通知・公表というスケジュールらしく

モデルとなる望ましい実践例を、経済産業省のホームページで公表するとある。

すでに交通カード利用で取得されるパーソナルデータの提供について

一部混乱もあり、出鼻を挫かれた感はあったが

利用者の理解はあまり進んでいない印象もある。

 

 

今回はパーソナルデータを利活用したいと考える事業者向けだが

そもそも個人情報の主体者である消費者や利用者はどう感じているのだろうか。

恣意的な運用をさせないために手続きとしてのモデルケースを公表することは

実質的な指針となるため必要と思われるが

免責手続き化するのでは?という不安も拭いきれない。

 

 

個人的な見解としては

例え、特定の個人が識別できないパーソナルデータであったとしても

吸い上げられた情報が売買され企業の収益源になることには違和感がある。

交通カードの乗降履歴でさえ混乱を招いたという経過を見ると

今後、さらに広範囲に及ぶと思われるライフログについても

事前に本人が容易に判断できる情報の開示と明示的同意は不可欠であろう。

 

 

今回の試行における記載事項の評価視点は以下の通り。

 ・サービスの概要

 ・取得するパーソナルデータと取得の方法

 ・パーソナルデータの利用目的

 ・第三者提供の有無及び連絡先

 ・提供の停止の可否と停止の方法

 ・問い合わせ先

 

 

また、消費者による開示情報の選択についての評価の視点としては

 ・消費者が開示する情報を容易に選択できること。

 ・パーソナルデータの取得、利用等について、消費者が自ら開示の

  選択ができるほど十分に分かり易く説明されていること。

 

 

と書かれているが、できるだけ多くの情報を得たいと考える事業者の思惑と

できれば必要最小限の情報開示で多くのサービスを受けたいと考える利用者では

トレードオフの関係になりやすい。

パーソナルデータの保護については法整備も含め検討が始まったばかりである。

今回の試行は、その一貫としての取り組みと思われるが

2ヵ月後の結果に注目したい。

Pマーク担当向け教育更新コラム:パーソナルデータと環境整備

pmark-anchor 2013年9月3日 火曜日

政府は公共データの民間開放(オープンデータ)を推進するとともに

ビッグデータを活用した新事業・新サービスの創出を促進する上で利用価値が高いと

期待されている「パーソナルデータ」の利用を促進するための環境整備等を図るとして

IT総合戦略本部の検討会が始まった。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pd/dai1/gijisidai.html

これまでに検討すべき課題として個々に取り上げられてきたものを集約し

法制度の見直しを含め抜本的なルール整備に着手したようである。

 

 

 1.パーソナルデータの保護の必要性と保護範囲の明確化

  現行の個人情報保護法を遵守していてもパーソナルデータの取扱いについて

  プライバシー保護が不十分と見なされる事案が多く発生している状況に鑑み

  これまでの各省庁における先行的に行われた取組を踏まえつつ、一般的な国

  民の感覚に適合した枠組みを構築するためパーソナルデータの保護の目的を

  明確化するとともに保護されるべきパーソナルデータの範囲について検討す

  べきではないか。

 

 

まずは、これらの検討が急がれる。

近年、プライバシーに直結する情報が電子化され、集約され、紐付けされ

本人が気づかないところで分析され利用されているケースが目に付く。

本人関与の権利があったとしても知らなければ何もできない。

保護すべきパーソナルデータとは何か

保護するために講じるべき措置とは何かを明確化することは不可欠である。

 

 

 2.現行法における個人情報の範囲の明確化と取扱事業者の要件の検討

  個人情報保護法における個人情報への該当性にあいまいさがあるため、どの

  ようなデータであれば自由に利活用できるかが判然とせず、利活用を妨げて

  いるとの声がある。パーソナルデータの利活用に当たっては、そのデータの

  種類、使用方法等により、保護すべき範囲についてケースバイケースで判断

  せざるを得ない面があるが、現行の個人情報保護法の解釈において可能な限

  り明確化することを検討すべきではないか。

  さらに、個人情報取扱事業者の要件について、情報通信技術の進展、プライ

  バシー保護意識の高まり等を踏まえ、現行要件(個人数:5,000)についても

  見直すことの可否を検討すべきではないか。

 

 

ビッグデータの利活用において

特にパーソナルデータの取扱いについては個人情報保護法が

妨げになっているとの記事をよくみかけるが

個人情報とパーソナルデータの切り分けが明確化されないまま

利活用を推進すれば当然の結果であろう。

 

 

パーソナルデータの利活用ルールの在り方については

 

 

 1.適切なプライバシー保護を確保した上での事業者の手続きの簡素化

  保護されるべきパーソナルデータの範囲を見直したとしても、何を保護すべ

  きプライバシーと感じるかは個人の主観に依存するものでもあるため、プライ

  バシーが適切に保護されるか否かは事案ごとに委ねられるものとなる。パーソ

  ナルデータを含むビックデータの利活用を促進する観点から、適切なプライバ

  シー保護を確保しつつ、個人情報の入手時の同意取得、入手後の利用目的の拡

  大や第三者提供、共同利用を行う際の事業者の手続きを簡素化することを検討

  すべきではないか。

 

 

これには議論の余地がある。

確かに保護されるべきと感じるプライバシー情報には個人差がある。

例えば、ポイントインセンティブのうほうが価値があると感じる人もいるだろう。

が、一方で個人情報の入手時の同意取得、入手後の利用目的の拡大や

第三者提供、共同利用を行う際の事業者の手続きを簡素化することで

本人関与の機会を失ってはならない。

やはり透明性確保のもとで明確なパーミッションを得るべきと考える。

 

 

パーソナルデータの保護を有効に機能させるための仕組みの在り方については

 

 

  パーソナルデータの利活用ルールが適切に遵守される仕組みを有効に機能させ

  るため、事業者が自主的に行っているパーソナルデータの保護の取組を評価し、

  プライバシーポリシー等の遵守を徹底させる仕組みを構築していくことを検討

  すべきではないか。また、パーソナルデータの利活用ルールの策定に当たって

  は、国、企業、消費者、有識者等による合意形成が行われるようなルール策定

  プロセスを検討すべきではないか。

 

 

つまり社会的コンセンサスを得るために評価機関の設置や

罰則の仕組みづくりが検討されるものと思われる。

さらに評価機関の検討に当たってはPマーク等の既存の認証スキームとの

整理も含めた検討が必要とある。

 

 

配布された資料を見る限り

これから検討すべき課題は山積みである。

すでに議論が進んでいるものも含まれるが、かなりの時間を要するだろう。

そうなれば“ビッグデータの利活用”において

パーソナルデータを含む情報の取り扱いには最大限の配慮が必要と思われる。

特に匿名化や暗号化については明確な指針の策定が急がれる。

今後、どのように検討が進んでいくか注視していきたい。

Pマーク担当向け教育更新コラム:共同利用はあったのか

pmark-anchor 2013年8月28日 水曜日

関東経済産業局が8月8日に結婚相手紹介サービスの

特定継続的役務提供を行っていた2社に対して

特定商取引法第46条の規定に基づき、違反行為の是正を指示した件で

http://www.caa.go.jp/trade/pdf/130808kouhyou_1.pdf

両社の個人情報の取扱いは適切だったのか。

 

 

この件については8月10日付けで

「関東経済産業局からの是正指示に関するお詫びとお知らせ」として公表されている。

http://www.nozze.com/company/info.php

尚、行政処分の内容は「迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘しないこと」というものだが

いわゆる過剰勧誘という迷惑行為であり、事例をみると当然の処分と思われる。

 

 

ところで、今回の行政処分が気になったのは以下の記述である。

 

 

 2.取引の概要(一部抜粋)

  なお、両事業者は同一の称号を使用し、会員情報等の大部分を共有するなど、

  ほぼ一体的な営業を行っていた。

 

 

両事業者はいずれもPマーク認証事業者であるが

Webサイトの個人情報保護方針を見る限りでは

個人情報の第三者提供も共同利用も行っていないと書かれているため

“会員情報等の大部分を共有するなど~”となると

実態として会員情報の取り扱われ方がどうだったのかについて疑念が残る。

JIPDECのプライバシーマーク付与事業者一覧では

同一称号で2社が並んでおり、本店東京の事業者は更新手続き中と思われる。

 

 

今回のケースのように同一称号で、別法人の場合

利用者はよほど注意を払わないとわからないだろう。

別法人にしている理由はわからないが

少なくとも会員情報を共有しているとすれば

個人情報の取扱いについて提供又は共同利用がある旨を

明示すべきであろう。

Pマーク担当向け教育更新コラム:営業秘密管理指針の改訂

pmark-anchor 2013年8月20日 火曜日

営業秘密管理指針が改訂された。

平成15年に発表されてからすでに10年以上が経過する中

今回で4度目の改訂となるが、どの程度浸透したのだろうか。

不正競争防止法による営業秘密の保護は

法的担保をすることで一定の抑止力効果が見込まれる。

だが、一方で営業秘密の知的資産としての価値を

定量的に測ることがなかなか難しい側面もあり

結果的に経営者の裁量に委ねられるケースが多い。

 

 

顧客情報や従業者情報など個人情報が営業秘密に該当することは

多くの事件・事故で注目を集める結果となった。

不正競争防止法における営業秘密侵害罪を問われるケースが増えたためである。

多くの場合は就業期間内での不正取得や不正開示である。

こうした不正行為は金銭的動機によるものが多いが

必ずしもそればかりといえないケースもある。

 

 

例えば、転職の際のキャリア評価として

これまで携わってきた業務内容や経験上得た知見は

求人側にとって大きな関心事であるとともに

求職者にとっては有効なアピールポイントとなる。

双方の思惑が合致すれば“採用”となるケースもあるだろう。

この場合、求職者の知見や人脈といった無形の資産の帰属先が

どこにあるのかはグレーゾーンとなる場合が多い。

 

 

一般的に業務上知り得た情報について秘密保持契約を結ぶ

あるいは就業規則において秘密保持義務を負うことが多いが

雇用関係が解消された場合の有効性については疑問が残る。

そのため退職時に改めて秘密保持契約を求めるケースも増えてきたが

今回の改訂ではさらに踏み込んで競業避止義務契約のあり方について検討が加えられている。

また「競業避止義務契約の有効性について」という資料も公開された。

 

 

 

○競業避止義務契約の有効性に係るまとめ(抜粋)

 

 

競業避止義務契約締結に際して最初に考慮すべきポイント

・企業側に営業秘密等の守るべき利益が存在する。

・上記守るべき利益に関係していた業務を行っていた従業員等特定の者が対象。

 

 

競業避止義務契約の有効性が認められる可能性が高い規定のポイント

・競業避止義務期間が1年以内となっている。

・禁止行為の範囲につき、業務内容や職種等によって限定を行っている。

・代償措置(高額な賃金など「みなし代償措置」といえるものを含む)が設定されている。

 

 

有効性が認められない可能性が高い規定のポイント

・業務内容等から競業避止義務が不要である従業員と契約している。

・職業選択の自由を阻害するような広汎な地理的制限をかけている。

・競業避止義務期間が2年超となっている。

・禁止行為の範囲が、一般的・抽象的な文言となっている。

・代償措置が設定されていない。

 

 

労働法との関係におけるポイント

・就業規則に規定する場合については、個別契約による場合がある旨を規定しておく。

・当該就業規則について、入社時の「就業規則を遵守します」等といった誓約書を通じて

 従業員の包括同意を得るとともに、十分な周知を行う。

 

 

 

尚、資料は昨今の判例をもとに競業避止義務契約の有効性について検証されたものであり

上記にあるポイントを抑えておくことが結果として同契約の有効性を担保するものだ。

具体的な指針として参考になる部分が多いと思われる。

Pマーク担当向け教育更新コラム:事後対応

pmark-anchor 2013年7月27日 土曜日

JR東日本がSuicaデータの提供について批判があった件で

結果的に見直しを迫られたようである。

 

Suica に関するデータの社外への提供について

http://www.jreast.co.jp/press/2013/20130716.pdf

 

 

特定の個人を識別できる情報を含まないため

事前の説明が不十分であったとしているが

今回の件で利用者の警戒感は強まる結果となった。

こうした事態は事前に想定できたのではないかというのが筆者の印象である。

 

これまでもライフログやパーソナルデータについては

ビッグデータとして利活用を大いに推進しようと考える派、つまり事業者と

自分のプライバシーには最大限配慮して欲しいと考える消費者と

この二者間の隔たりが埋まらないままに提供が始まってしまったこが

今回の根本原因ではないかと考える。

 

この問題はなかなかに根が深い。

プライバシーに関する感受性は人によって大きく異なるため

オプトアウトを採用しても根本的な問題解決とはならない。

事業者にとってビッグデータは十分に魅力的だが

消費者にとっては、常に“?”が付きまとう。

すでにJR東日本ではオプトアウトを受付けているようだが

今回の事後対応について利用者がどんな判断を下すか

注目の集まるところである。

Pマーク担当向け教育更新コラム:ビッグデータとプライバシー

pmark-anchor 2013年7月18日 木曜日

“ビッグデータの利活用”が動き始めている。

JR東日本が日立に提供したSuica乗降履歴データについて

「日立 交通系ICカード分析情報提供サービス」が開始された。

 

http://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/field/statica/

 

同サイトでは以下の注釈があり、個人情報は含まないとしている。

※Suicaは、JR東日本が発行する総発行枚数4000万枚を超える交通系ICカードです。

※履歴情報は個人情報を含まない形で提供されております。

 

ビッグデータの取扱いについては

最大限プライバシーに配慮することは当然ではあるが

JR東日本が事前に利用者に説明がなかったことについて不安視する声もあるようだ。

同社HPの「個人情報の取扱いに関する基本方針」では

特定の個人が識別可能な個人識別情報を対象としており

今回の履歴情報には個人情報が含まれていないとして

利用目的や第三者提供について特に説明がされなかったのかも知れない。

 

一方、日立のサイトには

「ビッグデータビジネスにおける日立のプライバシー保護の取り組み」が公開されている。

 

http://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/approach/wp_privacy.pdf

 

対象はビッグデータの利活用を検討する事業者のお客様と書かれているが

一般利用者が見ても分かりやすい表現で良くまとめられている。

 

数年前には直接的に個人情報に該当しなければ

取得・利用しても問題ないといった風潮もあったが今では通用しない。

ビッグデータビジネスを推進するなら

パーソナルデータの取扱いやプライバシー保護に関する取り組みについて

事業者は、一般の消費者がわかるように説明しておく必要がある。

今後、さまざまな履歴情報が匿名化された上でビッグデータとして活用されていくだろうが

まずは利用者の不安を払拭し社会的コンセンサスを得ておくことが不可欠である。

何がどう安全なのか? プライバシー保護は大丈夫か?など

まずは事業者目線ではなく消費者目線での説明が優先される。