改訂された営業秘密管理指針の中身

pmark-anchor 2010年4月20日 火曜日

改訂された営業秘密管理指針の中身

~第21条における営業秘密侵害罪について~

 

こんにちは、個人情報保護アドバイザーの目木知明です。

本日は情報セキュリティコンサルタント岸本雅美のコラムとなります。

 

改訂された営業秘密管理指針の中身

~第21条における営業秘密侵害罪について~

 

営業秘密侵害罪という言葉はあまり耳慣れないこともあって

一般的な認知度は低いのではないかと思う。

今回改訂された営業秘密管理指針ではその問題も含め、

理解を深めるための具体的な事例を採用していることもあり、少しポイントを整理してみた。

 

まずは営業秘密侵害とは何か?ということであるが、

具体的には「不正の利益を得る目的」又は「営業秘密の保有者に損害を加える目的」

(「図利加害目的(とりかがいもくてき)」に該当するかどうかである。

 

同指針では、「不正の利益を得る目的」とは、公序良俗又は信義則に反する形で

不当な利益を図る目的のことをいい、自ら不正の利益を得る目的(自己図利目的)のみならず、

第三者に不正の利益を得させる目的(第三者図利目的)も含まれるとある。

また、「保有者に損害を加える目的」とは、営業秘密の保有者に対し、

財産上の損害、信用の失墜その他の有形無形の不当な損害を加える目的のことをいい、現実に損害が生じることは要しないとある。

 

図利加害目的に当たる事例としては以下のケースが紹介されている。

 

1.金銭を得る目的で、競業企業以外に営業秘密を不正に開示する行為

保有者の営業秘密を、自ら不正に使用して不当に収益を上げる目的(自己図利目的)や、

開示した者に不正に使用させることによって、その者に不当な収益を上げさせる目的(第三者図利目的)は、

営業秘密の保有者と自己又は第三者とが競争関係にある必要はない。

 

2.保有者に営業上の損害を加えるため又はその信用を失墜させるため、

営業秘密をインターネット上の掲示板に書き込む行為

 

財産上の損害、信用の失墜その他の有形無形の不当な損害を加える目的は

「保有者に損害を加える目的」に当たり、また、現実に損害が生じることを要しない。

 

 

これらは、改正前の不正競争防止法ではカバーできなかった範囲である。

特に1.については競争関係にあることが前提条件であったため同法の適用は極めて困難であった。

 

近年、顧客情報の不正持出し・開示(目的外利用)による事件が多発しているが、

不正競争防止法での告訴、刑事罰が適用された例は残念ながら少なかったのが実情である。

多くの場合、その情報が営業秘密として特定・管理されていなかったことが原因ではあるが、

特に秘密管理性の立証が大きな障害ではなかったかと思う。

 

この点に関しては、JISQ15001やJISQ27001における個人情報、資産情報の特定及びリスク分析、管理手法は

この秘密管理性を検討する上で参考となる。また、法の不備も否めない。

無形物である情報の窃盗、搾取等を取り締まれる法律もなかったとは信じがたいことではあるが・・・。

 

今後、自社の営業秘密を侵害されないための対策だけでなく、他社の営業秘密を侵害しない、させないためにも

経営者、従業者が一体となって取り組むことで自社の競争優位性は確保されるのではないかと考える。

 

4月20日 情報セキュリティコンサルタント 岸本雅美

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